
今年も急に寒くなりました。 衣替えはもう済みましたか?
僕は寒がりなので、冬物を出すのは早い方です。それでも昔にくらべたら、ずいぶん寒さに強くなったと思います。
20代の頃は、厚手の靴下を重ねて履いていても足先が痛いくらいに冷たくなっていました。
今では全然平気です、自分の血行が良くなったのもあるでしょうが、30年くらい前の冬はもっと寒かったのかもしれませんね。
今年も寒暖差の激しい冬になりそうですから気を付けましょう。
姿勢を良くしようとすると、みんな背筋を伸ばそうとします。 ダメです! 無理に背筋を伸ばしても絶対に姿勢は良くなりません。
気が付くと、背中を丸くしているなと思って、伸ばそうとする気持ちは分かります。長時間座りっぱなしで作業をしていて、たまに伸びをするのはとても良いことです。
しかし、たまに身体を伸ばしてほぐすのと、姿勢を良くするのでは全く意味が違います。 立っていても座っていても、どちらでも姿勢を気にして背筋を伸ばそうとするのは、逆に身体に負担をかけてしまい、特に腰を痛めることになるので、絶対にNGです。
人間の背骨は生理湾曲と言って、S字の湾曲になっています。 そのS字のカーブが丸くなると姿勢が悪くなったと思い、それを伸ばそうとします。
背筋を伸ばすと確かに背中の背骨のカーブは伸びるのですが、腰の周辺の背骨のカーブはそれに連動して伸びるわけではありません。
背筋を伸ばそうとして上体を起こすと、それに連動して下っ腹が前に突き出る形になります。 すると腰が前方に反り返って、反り腰になります。
反り腰になると、それに連動して骨盤が下を向くことになります。 この反り腰と骨盤が下を向くことが、一番腰に負担のかかる形です。
この図のように、無理に背筋を伸ばそうとすると腰が前に突き出てしまいます。
骨盤の向きも水平ではなく前に倒れて下を向くようになります。この姿勢が一番悪いし、腰に負担がかかります。
背筋を伸ばすのではなく、姿勢を気にするならば、下っ腹に力を入れて、引っ込めるようにし、腰を引くことで骨盤を水平に戻すように起こすことが大切です。
腰痛になると予防のために腹筋を鍛えましょうと言うお医者さんもいますが、その本当の意味は、腹筋が弱くなることで、背骨の腰椎のカーブが曲がり、反り腰になることで腰に負担がかかるのを防ぎましょうということです。
しかし、腰の痛い人にアスリートのような腹筋トレーニングなど出来るわけがなく、腹筋を鍛えたからといって正しい姿勢になるわけではありません。
ずっと立っていると腰が痛くなってしまう人は多いです。 電車でずっと立っていたり、台所でずっと立って炊事をしていたりして、腰が痛くなってしまうことがあるでしょう。
そのような場合には、立ち方を工夫することをお薦めします。 下っ腹に力を入れて少し腰を引くように立っていると腰はずいぶんと楽になります。
この立ち方がなかなか上手く出来なかったり、すごく意識していないと出来ない場合には、いい方法があります。 それは、内股にして立つ方法です。
立っている時に自分の足元を見てください。 つま先が外に開いて逆ハの字になっていると思います。 このつま先を閉じて内股にすると骨盤が起きて腰の位置が後に下がります。
この時、完全にハの字になるまで内股にする必要はありませんが、足元を見て両足が平行くらいになるまでやってみると自分ではかなり内股にしている感覚があると思います。 そこで充分ですし、それ以上やると今度は膝に負担がかかり過ぎます。
立っている時に自分の足元を見て両足が平行か少しハの字になっているくらいの内股にしてみると、腰が引けて骨盤が起きるのと同時に足のふとももの内側に強い圧を感じると思います。
実は内股にして立っていたり歩いたりすることで、足のふとももやふくらはぎの内側の筋肉を鍛えることに繋がり、普段使っていない足の筋肉が鍛えられます。
このふとももやふくらはぎの内側の筋肉から足の老化が始まります。 ここの筋肉は、普段使われにくく、足の筋力を弱める最大のポイントになります。 身体の中心線に近い方の内側の筋力が落ちることで、身体を中心線で支えられなくなり、体重を身体の外側や前後に分散させて支えるような骨格に変化していきます。 その最たる弊害が反り腰でありO脚(おうきゃく)です。
内股で動く動作には老化防止効果があり、日本舞踊の動きなどはとてもよいエクササイズになります。 内股で立ち、内股を意識して歩くことで普段使っていない足の内側の筋肉を鍛えることが、最も手軽で効果的な足の老化防止と言えます。
もう一つ、日頃よくつまずくという人は、この反り腰が大きな原因になっているかもしれません。 もう一度この図をよくご覧ください。
反り腰になると腰が前方に突き出ますので、足も斜めに傾きます。ということは、地面と足の角度が前方に向けて鋭角になるということになります。
地面と足が垂直ならば、少し足を上げるだけで前に出してもつっかかりませんが、足が前方に斜めに傾いていたら、よほど足を上げなければ前に出した時に地面を蹴ってしまいます。
いくら背筋を伸ばしているつもりでも腰が反ってしまえば身体全体が前方に傾きますから、この状態で歩けば前つんのめりになり足も地面を蹴りやすいので、ちょっとした段差や障害物があればすぐにつまずきます。
つまずくようになるとすぐに、筋力低下や老化によって足が上がらなくなったのかなと思い込んで、筋トレをやった方がよいでしょうかと聞いてくる人も多いですが、まずはその現象をしっかりと分析して、その意味と構造を理解することが大切です。
以上のことから、よくつまずくという人も、まずは自分の反り腰を修正してみてください。 意識してやるのが辛ければ、内股にして立って歩いてください。 それが最も簡単で効果的なつまずき防止と老化防止の方法となります。
そして、座っていても立っていても、背筋は伸ばさないように、下っ腹に力を入れ腰を引き、姿勢を気にするならば胸を張ってください。 背中は縦に伸ばすものではなく横に広げるものです。 そうすれば、もっと楽になり、もっとよい姿勢に見えるようになります。